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ご遺族に関わる医療、心理関係者の方へ

複雑性悲嘆の治療について

近年報告された複雑性悲嘆のメタアナリシス(Wittouck et al, 2011)では、複雑性悲嘆に対して有効だと考えられている治療法は、いずれも複雑性悲嘆をターゲットにデザインされた個人の認知行動療法です。代表的な治療としてShearら(2005)、Boelenら(2007)、Wagnerら(2006)が開発した認知行動療法があげられます。Wagnerらの治療法は、インターネットを用いて行うため、治療場所が遠い遺族などが利用することが可能です。これらの治療は、悲嘆や複雑性悲嘆に対する心理教育、死別体験への曝露、故人の思い出の整理、故人のいない世界への適応の要素が含まれています。現在、私たちは、Shear博士の開発した複雑性悲嘆のための心理療法(complicated grief treatment, CGT)及びWagner博士の開発したインターネットを用いた筆記療法の治験や治療法の研修を行っていますので、これらの治療は日本で受けることができます。

複雑性悲嘆に対する薬物療法の研究も行われています。三環系抗うつ薬ではうつ症状の改善はありましたが、悲嘆の症状には改善が見られませんでした(Pasternaket al., 1999)。また、近年SSRI(escitalopram)(Zisook et al., 2001)やSNRI(bupropion)(Hensly et al., 2009)を用いて行われた研究では、抑うつ症状だけでなく複雑性悲嘆症状の改善が見られました。しかし、これらの研究はすべてオープントライアルであるため、薬物療法の効果が十分検証されたとは言えない段階です。